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やまー
by terayamadai
ICELANDia


No7 マルクスが描き出した冷酷な体制


 カール・マルクスの資本主義崩壊のビジョンはどのようなものであったのだろうか。彼の代表的な作品「資本論」では、最善な資本主義システムを採用し、そのシステムが内包する制度的矛盾を指摘することでシステム自体が抱える制度的欠陥を証明しようとした。最善な資本主義システムでは独占や組合といったいかなる者に対する特権も存在していない。そこでは全ての商品が適正な価格で売られている。適正価格とは商品の価値のことであるが、商品の価値とは、商品がそれ自身の内に秘めている労働量のことである。こうした状態の下で利潤が発生する原因をマルクスは「剰余価値の発生」という概念で説明している。労働者は生存のために仕事をし、契約した賃金を得ている。けれども、労働者は実際仕事を契約する上で生存に必要な時間以上の契約を余儀なくされる。労働者は契約した労働を行うことで生み出した価値を資本家に委ねるが、労働の対価として彼らの生存維持金額しかもらえない。マルクスはこの不払い労働分を「剰余価値」と呼んだ。利潤が発生する源と考えたのだった。
 今まで労働者サイドから考えてきたが、今度は資本家サイドから考えていく。資本家は競争を通じて生産規模の拡大を図るが、労働者の賃金が上昇するため利潤率は低下していく傾向にある。そこで資本家は労働節約的な機会を導入し、賃金を抑制しようとする。一見すると資本家は危機を逃れてように思えるが、実際は自身の利潤の源泉を破壊してしまっている。そして、利潤は生産がこれ以上利潤を生むことが無くなる地点まで、切り下げられ、破産する資本家が続出する。
 上記のようなマルクスのビジョンは労働者を酷使していた時代には適応したかもしれないが、現代社会には適応できていないように感じられた。
by terayamadai | 2005-05-19 09:11 | エッセイ(課題)
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